古紙回収というと昔はちり紙交換と言う形で街中を回っていたものですが、昨今ではちり紙交換と言うものをすっかり見なくなりました。その代わりに資源ごみという名目で市や町が回収するようになったわけですが、果たしてそれがリサイクルの正しい姿と言えるのかどうかじっくりと考えて見るべきではないでしょうか。ちり紙交換なら古紙を出す人間にもメリットがあったわけですが、一方で資源ごみの回収ということになると、ごみを出す人間には何のメリットもないわけです。それではメリットはどこに消えてしまったのかと言うことになるわけですが、名目上は市の収入に計上されているでしょうが、市民が実際にそのメリットを感じることはないのではないでしょうか。実際そうして集まったお金を何に使っているのかも分からないのだから、よく考えるとなんとも納得のいかない話です。
それよりは昔どおりのちり紙交換のような古紙回収業者が街を回ってくれたほうが目に見えてメリットがあるし、またリサイクルと言う点でも古紙を出した人間にトイレットペーパーを渡すのだから、それ以上の価値を業者が古紙から生み出すのは明らかです。そういった仕組みが出来上がっているところに資源ごみなどという名目で市が割り込む意味があると言えるのでしょうか。このあたりのことははっきりさせないと、いずれは資源ごみを出すのは馬鹿らしいということにもなりかねないので、地方自治体としても市民に対する説明をしっかりと行うべきでしょう。ところで肝心の回収された古紙ですが、現状では再生紙として再利用されるのが一般的です。しかし再生紙は思ったより値が張るし、また質の面でも普通の紙に劣るので、古紙回収から得られる紙の再利用方法は他にも考えておくべきでしょう。たとえば原料がパルプなら自然由来のものなのだから肥料に加工できるのではないでしょうか。また昨今では植物由来のバイオエタノールと言うものもあるのだから、古紙をエタノールにする事だって原理的には可能なはずです。それを採算ベースに乗せるのは現状では難しいかもしれませんが、古紙回収のおかげで原料はほぼただで手に入るのだからそれを利用しない手はないでしょう。
他にもいろいろ使い道は考えられるはずだし、それこそ多くの人の知恵を出し合ってリサイクル法を検討すれば古紙にもかなりの付加価値がつくのではないでしょうか。いずれにしろまったく新しい古紙のリサイクル法を新しく開発することが望まれます。